BCG健康遺伝子情報003,004,005:TCF7L2遺伝子

Updated on 25th June, 2016
血糖値と健康に関わる遺伝子

遺伝子多型番号:rs12255372, rs7903146, rs7901695
  • 応用できる健康管理 → 2型糖尿病予防、乳がん予防など
  • 遺伝子による体質差 → 耐糖能力
    ※耐糖能力とは、血液中のグルコース(ブドウ糖)の処理能力のことで、血糖値を正常に保つことができる能力を意味します。
Wタイプ:一般的な体質(G:G)
Hタイプ:DNA修復能力が高め(G:A)
Vタイプ:DNA修復能力が高め(A:A)

遺伝子型と体質

TCF7L2遺伝子には多くの遺伝子型の変異が報告されており、耐糖能力に関わるものが多く知られています。その内の3種類の遺伝子型と健康の関係を以下に紹介します。研究報告では結果的に特定の体質(耐糖能力の低い体質)を持っている人が2型糖尿病、乳がんや卵巣がんなどの病気になっている率が高いことが報告されています。遺伝子型の違いにより耐糖能力に関わる体質が異なるため、耐糖能力が弱い体質の人は糖の摂取方法において工夫することで病気の予防を行うことができると考えられます。実際はTCF7L2遺伝子に限らず多くの異なる遺伝子型が体質にそれぞれ影響しているため、ここで取り上げている3つのTCF7L2遺伝子に関わる遺伝子型の違いは日々の健康管理を行う上で、耐糖能力に関わる体質の一部を把握することに役立てられます。

BCG健康遺伝子003(遺伝子多型番号:rs12255372)
  1. G:G ⇒ Wタイプ
  2. G:T ⇒ Hタイプ
  3. T:T ⇒ Vタイプ
BCG健康遺伝子004(遺伝子多型番号:rs7903146)
  1. C:C ⇒ Wタイプ
  2. T:C ⇒ Hタイプ
  3. T:T ⇒ Vタイプ
BCG健康遺伝子005(遺伝子多型番号:rs7901695)
  1. T:T ⇒ Wタイプ
  2. T:C ⇒ Hタイプ
  3. C:C ⇒ Vタイプ
上記の遺伝子型の違いが2型糖尿病になる原因と関係しているかは明らかではありませんが、研究報告においてBCG健康遺伝子003、BCG健康遺伝子004およびBCG健康遺伝子005それぞれでWタイプの遺伝子型を持っている人は結果的に他の遺伝子型を持っている人と比較した場合に2型糖尿病になっている人が少ないことが報告されています。一般的に、インスリンは血液中のグルコース(糖)を低下させ、グルカゴンは血液中のグルコースの量を増加させる働きがありますが、TCF7L2遺伝子はこのインスリンの分泌量を調整する機能に関わっています。

BCG健康遺伝子004において、HタイプもしくはVタイプの遺伝子型を持っている人は2型糖尿病、乳がんになった人がWタイプの遺伝子型を持っている人よりも多いことが報告されています。これは耐糖能力の違いに関係しており、連鎖的に体のインスリンの分泌量に関係していることが報告されています。

TCF7L2遺伝子型の違いが2型糖尿病、乳がん及び卵巣がんになる原因と関係しているかは明らかではありませんが、耐糖能力の違いによる体質差が結果的に2型糖尿病、乳がんなどになりやすい体質を誘発していることが推察できます。このことから、遺伝子情報から耐糖能力に関わる体質情報を把握し、体質によっては飲食の際に糖の摂取方法を工夫することが健康の管理に役立ちます。飲食などにより摂取される糖に対する体の反応能力は体質により異なるため、血糖値を正常に保つためには補完的な努力が求められます。以下の表1には過度もしくは急激な糖の摂取に不向きな体質の遺伝子型を簡単にまとめてあります。

表 1 過度もしくは急激な糖の摂取による耐糖能力(遺伝子型別)
  Wタイプ Hタイプ Vタイプ
BCG健康遺伝子003 弱 い 弱 い
BCG健康遺伝子004 弱 い 弱 い
BCG健康遺伝子005 弱 い 弱 い

表1で「弱い」の体質に該当する体質を持っている人は糖質の摂取において取り過ぎない工夫と急激に糖が吸収されないように工夫することが健康管理に役立ちます。つまり、食事の際に糖質がどの程度含まれているのかを把握し、また、過度な糖質の摂取を抑えることで耐糖能力が弱い体質を持っている人でも糖を効率良く摂取することが可能となります。急激に血液中の糖濃度を上昇させないように糖質の含まれている食品を小分けまたは少しずつ食べる工夫や糖質の少ない食品もつまみながら食事を行うと良いかも知れません。例えば、糖質の少ない野菜類を食事の最初や食間に食べることで糖質が多く含まれている食品を食べても急激な血糖値(血液中の糖質濃度)の上昇を緩やかにすることができます。また、最近は血糖値の上昇を緩やかにする効果がある飲料も市販されているので、このような特定の健康機能を持っている特定保健用食品などを上手く活用することで計画的に耐糖能力を補完することができます。BCG健康遺伝子003、BCG健康遺伝子004及びBCG健康遺伝子005の全ての遺伝子型においてWタイプを持っている人でも過度な糖質の摂取や急激な血糖値の上昇は健康を害することになります。ご自身の体質を把握し、糖質の適切な摂取方法を習得することで健食(健康な食事)と健活(健康な活動)において糖質と仲良く付き合うことができるようになり、生活の質が高まることが期待できます。

参照文献

  1. Barbara BurwinkelS Shanmugam, Kari Hemminki, Alfons Meindl, Rita K Schmutzler, Christian Sutter, Barbara Wappenschmidt, Marion Kiechle, Claus R Bartram and Bernd FrankKalai. (2006). Transcription factor 7-like 2 (TCF7L2) variant is associated with familial breast cancer risk: a case-control study. BMC Cancer.
  2. Jose C. FlorezPh.D., Kathleen A. Jablonski, Ph.D., Nick Bayley, B.A., Toni I. Pollin, Ph.D., Paul I.W. de Bakker, Ph.D., Alan R. Shuldiner, M.D., William C. Knowler, M.D., Dr.P.H., David M. Nathan, M.D., and David Altshuler, M.D., Ph.D., for the DM.D.,. (JULY 20, 2006). TCF7L2 Polymorphisms and Progression to Diabetes in the Diabetes Prevention Program. The New England Journal of Medicine.
  3. M. Horikoshi, M. Horikoshi, K. Hara, C. Ito, R. Nagai, P. Froguel, T. Kadowaki. (2007). A genetic variation of the transcription factor 7-like 2 gene is associated with risk of type 2 diabetes in the Japanese population. Diabetologia.
  4. Jingxiang Chen, Tao Yuan, Menggang Liu, Ping Chen (August, 2013). Association between TCF7L2 Gene Polymorphism and Cancer Risk: A Meta-Analysis. PLoS One.
  5. National Center for Biotechnology Information. (2016). 参照先: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/
  6. International HapMap Project. (2016). 参照先: http://hapmap.ncbi.nlm.nih.gov/

ブラケアジェネティクス 遺伝子情報を応用した健康管理情報は参考文献で明らかにされている研究成果を基に解説しています。
遺伝子型の違いによる健康への影響は生活習慣や環境による影響がはるかに大きいため、遺伝子情報の違いによる体質差は参考情報としてご参考下さい。ブラケアでは女性の健食、健活、健眠をサポートする情報を提供します。
注1:このサイトのコンテンツは事前の広告なく変更されることがあります。
注2:このサイトのコンテンツを引用されたり参照して新たなコンテンツを作成する場合、(株)ブラケアジェネティクスから引用もしくは参照したことを追記して下さい。
bcg002<   検査項目一覧へ   >bcg006,7